360°視界の抜けるハイサイドライト(高窓)は時間と共に移ろう空を切り取る
「小名浜港の花火大会、年に一度の打上げ花火を家で見られたら最高ですよね!」
月に一度、散髪に出向く美容室「スランドル」のKさんはいつも熱っぽく語られていました。
理想の土地、海を眺める暮らし、趣味や仕事や家族のこと・・・
1時間の散髪雑談は互いの仕事観、人生観にまで及び、気づけば設計が始まっていました。
港が見渡せる土地探しの末に得た敷地は、少々難ありでした。
道路との高低差が大きく様々な建築制限を受け、高台にありながら深い藪に阻まれ港はおろか海も見えません。
車の屋根によじ登り、かろうじて光る水平線を手掛かりにフロアレベルの構成を考えました。
数々の難問を逆転するために、1階の床を宙に浮かそう。
敷地高低差はビルトインガレージに姿を変え、高床式となったフロアは視線を海へとすくい上げてくれます。
楽しく雑談を重ねるなかで、Kさんは単なるロケーションハウスを求めてはいないことに気づきました。
華やかな業界とは裏腹に彼らは非常な努力家で、日々様々なことから学びを得ようという気概が見えました。
花火や海も生活に彩りを与える喜びである以上に、
ヘアメイクアーティストとして己の感性を高める機会を探求されていると感じたのです。
そこで、借景の取り込みかたを単に眺めるに留まることないよう気を配りました。
視線の先、そこから視界が流れ別な光をとらえ、色や匂い、手触りなどをめぐり、体内に定着するように。
住まいながら流動的な自然に身をゆだねるように。
360°ぐるりと空を切り取るハイサイドライトは時と共にうつろう天空の色を落としてくれます。
家の中は外になり、外のような内が生まれ、外部との境界は曖昧になってゆきます。
感性を刺激する家を望まれたKさん。
私たちはこれに応えつつ、忙しい夫妻のために心身を休めるゆったりとした住まいを設計したいと考えていました。
黒板仕上の壁に描かれた文字が答えのようで、嬉しくて仕方がないのです。
ガレージを鉄筋コンクリート造の基礎に組み込み、建築物の一部とすることで
「がけを含んだ狭小地」という難題をクリアした
視線が海の方へ抜けるよう1階の床高を上げたことで花火を一望できる住まいを叶えた
大きな掃き出し窓をすべて開け放ち、壁内に収納できる設計
外のような中の空間が生まれ、暮らしをより豊かにする
キッチンからリビング空間を見る
リビングからキッチンを見る
モルタル仕上げのバーカウンターが印象的な主役となるキッチン。
LDより一段低く設定したことによりソファ席と視線を揃えている
意匠性を高めながら手元など雑然としがちなエリアを隠し、
使い易さと魅せる演出を叶えた
北側寝室を見る
スキップフロアで構成され、ガレージとの階層に大容量の収納スペースを実現している
寝室上部にサブリビングを配置
「スカイフロア」と名付けたこの場所は、眺望を楽しむための特等席になる
スカイフロアと名付けたサブリビングから大空・大海原へと解放されてゆく
施工エリア | 福島県いわき市 |
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カテゴリー | 新築(戸建て) |
家族構成 | ファミリー ペット |
価格帯 | - |
竣工年 | 2018年 |
社名 | (有)ハコプラスデザイン |
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住所 | 〒970-8036 福島県いわき市平谷川瀬二丁目6-4 |
TEL | |
施工対応 エリア |
全国 |