開く家、招く庭
築10年を迎える自邸である。
2階を住居として、1階はさまざまに変化し、成長してきた。
私たちは、住宅が街に開くことを考え続けている。
敷地は、比較的交通量の多い道沿いにひっそりとあった。
間口が狭く東西に細長い土地は長らく空き地で、公民館の近道や子供の遊び場であった。
それらが建築によって分断滅失するのではなく、「人びとが集う記憶の場」を再現したいと考えた。
まず、周辺環境へ配慮して東西方向に余白を取ったヴォリュームを配置。
次に、敷地中央に圧縮された箱型に、光と風を招くための5つの光庭をくり抜いた。
中庭を中心に回遊動線が巡り、生活の場と光庭が交互に現れる平面計画となった。
従前にあった東西の抜け「通りみち」を再現した1階は、常に開かれ人を招き入れる。
建築当初は地元主婦の手芸品を扱い、料理教室なども開かれて賑わう場であった。
東日本大震災後に私たちのオフィスに移行したが、度々イベントを開き地域交流の機会をつくっている。
そうした時、中庭は外の部屋となる。
上階によってたっぷりとした軒下や半外部空間が生まれ、屋内外を自由に人びとが行き交う。
東日本大震災と原発問題を経て激動する地に身を置き、建築に向き合うことは、
私たちの設計主軸を整理し、再構築する機会となった。
街に対し住宅が担う役割や可能性、コミュニティ形成への探求もそのひとつである。
自邸を通して、経年や変化を受け止め、しなやかに呼応できる、都市のストックとなる意識をもつ建築が、
持続した新鮮さを保ち、地域に根付くと感じている。
施工エリア | 福島県いわき市 |
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カテゴリー | 新築(戸建て) |
家族構成 | ファミリー ペット |
価格帯 | - |
竣工年 | 2009年 |
社名 | (有)ハコプラスデザイン |
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住所 | 〒970-8036 福島県いわき市平谷川瀬二丁目6-4 |
TEL | |
施工対応 エリア |
全国 |